10日間で数Ⅲをゼロから全部習得する。百燈塾の夏期講習を終えて~その2~学習法と学習習慣を変える
数Ⅲ以上に、この10日間で変えてほしかったもの~学習習慣を変えることの大切さ
百燈塾塾長の長谷川です。
前回(前回の記事はコチラ)に引き続き、百燈塾の夏期特別講習「10日間で数Ⅲをゼロから全部やるコース」を終えて考えたことをお話していきます。
そもそも、高校数学は本当に難しい科目です。
「次の定期テストまでに、ここまでできるようにしよう」
「○日までに、この問題集を100問やろう」
「夏休みまでに、この問題集を終わらせよう」
そんな小さな目標を立てた経験は、誰にでもあると思います。
しかし数学では、そんな一見簡単そうに見える目標ですら、なかなか達成できません。
予定していたところまで終わらなかった。
テストまでに仕上がらなかった。
一応勉強したけれど、目標としていた点数にはあと少し届かなかった。
そんな経験を何度も繰り返してきた生徒は少なくないはずです。
数学そのものが難しいのですから、これはある意味では仕方のないことでもあります。
しかし今回の夏期講習では、だからこそ、この10日間を一つのきっかけにしてほしいと考えました。
これまでの自分の行動を変えるきっかけにしてほしい。
そう生徒たちに伝えました。
人間は、そう簡単には変わらない
「自分を変える」と言葉で言うのは簡単です。
しかし、人間が本当に変わるというのは、とてつもなく大変なことです。
教育に携わる人間にとって、「人を変える」というのは一つの大きな目標です。
しかし、長く教育に携わっているほど、
人は、そうそう簡単には変わらない。
ということも痛感します。
特に勉強を教えるということは、単に「わからない問題を、わかるように説明してあげること」ではありません。
私は、勉強を教えるということは、その人の習慣を変えることだと思っています。
勉強というものは、日々の習慣の蓄積によって行われるものです。
机に向かう時間。
問題への取り組み方。
間違えたときにどうするか。
わからないときに粘るのか、すぐ答えを見るのか。
期限から逆算して準備するのか、直前になって焦るのか。
「これくらいでいい」と終わるのか、「絶対にできるところまでやる」のか。
高校生であれば、これまで十数年間生きてきた中で身につけてきた習慣が、そのまま勉強の姿勢として現れます。
だから、それを変えるというのは簡単なことではありません。
黒い絵の具を、白くする
私はいろいろな講演会や授業で、習慣を変えることについて、こんな話をすることがあります。
習慣を変えるというのは、黒い絵の具に白い絵の具を混ぜて、真っ白にするようなものだ。
真っ黒な絵の具に、白い絵の具を少し混ぜても、ほとんど黒のままです。
もっと白を入れても、まだ暗い灰色です。
さらに大量の白を入れて、ようやく少しずつ明るくなってくる。
真っ黒だったものを本当に白くしようと思えば、途方もないほどの白い絵の具を、何度も何度も入れ続けなければなりません。
習慣も、それと同じです。
一度いい話を聞いた。
一度反省した。
一度「明日から頑張ろう」と決意した。
それくらいでは、人間はほとんど変わりません。
別の言い方をするなら、熱した鉄板の上に雪を積もらせるようなものです。
熱々の鉄板の上に雪が一粒落ちても、すぐに溶けます。
もっと雪を降らせても、また溶けます。
しかし、それでもしつこく、しつこく、雪を降らせ続ける。
溶けてもまた降らせる。
溶けても、また降らせる。
そうして途方もない量の雪を降らせ続けていれば、いつか鉄板そのものが冷え、そこに雪が積もり始める。
人間の習慣が変わるというのは、それくらいの忍耐と繰り返しを必要とすることだと思っています。
だから、私たち個別指導の講師にとって最も大切な仕事の一つは、生徒を観察し続け、声をかけ続け、変化するまで諦めずに働きかけ続けることです。
そして、それだけでもまだ足りません。
そこに本人の、
「自分は変わるんだ」
という強い意志が加わって、初めて習慣は少しずつ変わり始めます。
「8点取ればいい」ではなく、「絶対に10点取る」
だから今回の数Ⅲコースでは、小テストに対する生徒たちの姿勢についても徹底しました。
数学リニアの小テストは、基本的に10点満点中8点で合格です。
これまでであれば、
「7点だった。惜しかったな」
「計算ミスがあって6点になってしまった」
「あと少しだったから、直して次に進もう」
ということもあります。
もちろん、7点を取ったこと自体が悪いわけではありません。
しかし、
「いつも、あとちょっと足りない」
という状態を許し続けていると、その「あとちょっと足りない」が自分の基準になってしまいます。
定期テストでもあと少し。
模試でもあと少し。
問題集もあと少し。
受験勉強の計画もあと少し。
そして最後の大学入試でも、
「あと少しだった」
になってしまうかもしれない。
私たちは今回、それを変えたいと思いました。
だから生徒たちには、
「8点を目指すな。絶対に10点を取るつもりで準備してこい」
と伝えました。
8点以上を取らなければならないのなら、最初から10点を取りにいく。
「できれば合格したい」ではなく、
「絶対に合格する」
と決める。
そして本当に10点満点を取れるだけの準備をして、テストの席に座る。
今まで「次の小テストは絶対に10点満点を取る」と決めて、そのために必要な準備を徹底してきた人が何人いるだろうか。
おそらく、ほとんどいなかったと思います。
だからこそ、今回はそれをやってみてほしい。
たった一度ではありません。
毎回です。
「次は絶対に満点を取る」と決めて準備する。
テストを受ける。
また次も同じように準備する。
それを10日間、10回の授業で徹底する。
そうすれば、講習が終わる頃には、
「テストがあるなら、合格できるところまで準備していく」
ということが、少しずつ自分にとっての当たり前になっていくかもしれません。
それこそが、この講習で私たちが数Ⅲ以上に身につけてほしかったものです。
高校1年生の頃から、何度でも言い続ける!
もちろん、こういう話を一度しただけで全員が突然変わるわけではありません。
今回も、高校3年生や高卒生たちは、こうした話をするとすぐに表情が変わり、意識を入れ直して勉強に取り組んでくれました。
生徒派でも、花塾でも、百燈塾でも、受験生にはこうした話を何度も何度もしています。
だから高校3年生ともなると、かなりたくましくなっています。
一方で、高校1・2年生はまだそうはいきません。
話を聞いた直後は、
「よし、頑張ろう」
と気持ちを引き締めます。
しかし数日経つと、少しずつ元に戻っていく。
宿題の完成度が少し下がる。
テストへの準備が少し甘くなる。
「これくらいで大丈夫だろう」という気持ちがまた出てくる。
でも、これはある意味で当たり前のことです。
それこそが習慣の恐ろしさです。
十数年間かけて身についた習慣が、私たちが一度話をしたくらいで変わるのであれば、教育はこんなに難しくありません。
だから私たちは、何度でも言います。
一度言って変わらなければ、もう一度言う。
少し緩んできたら、また声をかける。
姿勢が崩れたら、また正す。
気持ちが弱くなったら、また思い出してもらう。
黒い絵の具に、何度でも白い絵の具を入れる。
熱した鉄板に、何度でも雪を降らせる。
そうやって高校1年生の頃から何年も働きかけ続けることで、少しずつ習慣が変わっていきます。
今、高校3年生になって、受験に向かってたくましく勉強している生徒たちも、最初からそうだったわけではありません。
高校1年生の頃から何度も失敗して、何度も注意され、何度もやり直し、そのたびに私たちも声をかけ続けてきました。
そして本人たちも、その中で少しずつ自分を変えようとしてきました。
その積み重ねがあって、今があります。
中学、高校1,2年生が高校3年生になったとき、自分で自分を律し、自分で決めた目標に自分をきちんと着地させられる人になっているように。
そのために、私たちは高校1年生の頃から何度でも、何度でも言い続けるのです。


